顔

色々な顔をもつ

あっちでは優しい先輩

あっちではジャンキーのロクでなし

あっちではパティシエ

あっちでは教師

嘘や世界に裏アカウントを歩く度に落とし続けた嘘

いくつも顔がありどれがほんとか自分でも分からなくなる

あっちではバンドマン

あっちではいい子の少年

あっちではしましまパジャマ

あっちでは自殺未遂のスーツ男

新しい顔を新しく作る度に本当の顔は埋もれていくゆっくりと1マイル静かに消えていく

つまらないおとぎ話の本のページのように分厚く何枚にも何枚にもなる。

顔を清算しなければならない

夢遊病患者の公園の散歩

いつの間にか少しずつ少しずつ減っていく

食べかけのピーナッツと柿の種

蜘蛛の巣とホコリとガガンボ

顔をだせ、全てを一つに戻せ

スイッチをもう一度押せ

赤いランプ青いランプ赤いランプ青いランプ

ビラビラと仕掛け絵本のように飛び出す顔

背表紙には自分の名前

偽りの姿の数だけあるページ

66ページ

78ページ

124ページ

1142ページ

顔が並ぶ

自分の顔はどれだ

剥がれ落ちてヒラヒラする木の葉が噴水に落ちるのを見ていて完璧な1日はスタートする

あいつにはみせれるけど

あいつにはみせられない姿

あいつには秘密

あいつには教える

判断、反射、脊髄、血管、心臓、赤い浮き輪、ウォータースライダー。

全部が自分なのだ

愛すべき未来へ