JOE 4

俺達のもう1つの隠れ家 川沿いの小さな小屋

壁は木で出来ていて継ぎ接ぎのボロボロだ

いつの間に誰が見つけたかなんて言うのは忘れてしまったけど

いつもよくここに集まっていた

地べたは小屋の原型もなく不思議と砂まみれ

まるで海の際にある砂浜みたいだった

親と喧嘩した時には、よくここに逃げ込んで

ライターで火遊びしながら空の星を見た

俺はこの場所からみえる星が好きだった

知識も何も無いけど宇宙が大きいのは分かっていたしその上で暮らす俺達がもっとちっちゃいのを不思議と感じれて

俺は次の日になればすっかりラスタやガミガミを許せて、悩みも小さな地球を感じるみたいに小さくなってた

小ささとか大きさとか考えるとかそういうこともあったかも知れないけど
理屈抜きに俺はあそこから星を見るのが好きだった

虫の小さな声が聞こえて
風で揺れる草の音が聞こえて
俺はきっと自由を感じてた
俺はそこが好きだった
貧困な生活だけどここだけでは贅沢な気がした



ガミガミに怒られてまた嫌になって俺は今日も家を飛び出してあの小屋にやってきた
いつものように星は綺麗だった

なぜだかここに来る時はいつも星が綺麗な夜だ

ライターで火遊びしながら空を見てると

ガサゴソと風とは別の音が草を分けた

俺は咄嗟に構えた

まさか、おばけ?警察?
一瞬のうちにアタマを駆け巡る

時刻はちょうど夜の8時くらいだったと思う

暗闇と草を掻き分けて

泣きながらミヨが現れた

ミヨは靴も履かないでただ泣いていた

俺はわけも分からず何も出来なかった

ミヨはそのうち泣き疲れて眠った

俺も砂の上で見たことない海のこととミヨの涙を考えながら眠った


その次の日にケンジからその川沿いの小さな小屋に集合がかかった

ミヨは父親に犯されていた

まだ9歳の女の子なのに

普通なら友達と遊んで、笑って、テレビの話をクラスの友達と話したりなんかして

大したことない小さな感動で泣けて
誰かを初めて本当の意味で好きになったような錯覚をして
毎日の暮らしに見合った小さな悩みがあって笑顔があるはずなのに。

ケンジは落ち着いた様子で怒り狂っていた

朝方に帰ってきた妹のミヨから聞き出したらしい

俺はあの時靴も履かずに現れたミヨに何もしてやれなかった自分が悔しかった

俺は心の動揺を隠せなかった

ケンジは別れ際に

「ジョーちゃん今夜8時にまたこのばしょで」


ただそれだけ言ってかえっていった

俺は1人砂の上に座って少し泣いた


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