フーテン達に捧ぐ


「美しい話ばかりのフーテン達に捧ぐ
この声を張り上げて喉を枯らして」


アスファルトは雨で濡れて

喫茶店はむせかえる

ジャズの音がケムリとクズどもを混ぜる

天井のシミから心が漏れる


歌を作った雨の中で

ケムリのような僕達が

ほどけてほどけて消えないで

君の街まで君の街まで届くように

君に聞こえるように 声が枯れるまで


お別れは雲の切れ間

バスに乗って振り返る

水溜まりがヒカリとゴミダメを映す

空の隙間から涙が漏れる

歌を歌ったバスの中で

サヨナラが少しでも

遠くへ遠くへ行くように

君の街まで君の街まで届くように

君に聞こえるように 声が枯れるまで



美しい話ばかりのフーテン達に捧ぐ

この声を張り上げて喉を枯らして


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